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株式会社アークプランは、サラリーマンが夢を実現するために設立した、小さな小さな会社です。

河畔林について

 
  渓流釣り好きの方ならお分かりのことと思いますが、畑が川に隣接していると、大雨のあとなどで、畑の土が川に流入してしまうことがあります。
 これを食い止めるのが、川沿いに残っている河畔林です。
 左の写真は、北海道東部の河川と周辺の牧草地の様子です。この地域の河川は、本州のものとは比べ物にならないくらい、小さな標高差を流れています。そのため、川は大きく蛇行します。
 そして蛇行の頂点部分で、川を守る最後の砦である河畔林が、どうしても薄くなってしまいがちです。


 丹沢の奥地の沢は、台風の直後でもほとんど濁ることはありません。分厚い森林が土砂の流入をがっちりと食い止めています。しかし少し下流では、多くは川沿いについている林道からの土砂が流入し、濁ってしまいます。

 写真の川も、分厚い河畔林のある源流部は、本当に澄み切った素晴らしい水が流れているのですが、牧草地が広がる地域までくると、少しづつ濁りが強くなってしまいます。「酪農は難しい」で紹介したスラリー散布で、仮にスラリーが流れ込んでしまうような状態でも、分厚い河畔林があれば、その影響を最小限に食い止めることができると思います。

 この地域の酪農中心地である別海町の町役場で、このことについて話を聞かせてもらう機会がありました。その際、町の幹部の方は「樹を伐りすぎたことは事実です。たとえ百年かかっても、森林を取り戻そうと考えています」と話してくれました。今は濁っている町役場前の流れも、以前は夏の水泳場だったそうです(冷たい水なので寒そうですが)。

  こんな流れが続いていたら、どんなに素敵でしょう!

 河口にある別海漁協でも、河畔林の再生に取り組んでいるそうですが、本当に素晴らしい取り組みだと思います。酪農家の皆さんにも、広大な牧草地のほんの少しの部分を、森林に戻すことに協力してほしいと願わずにはいられません。

 (もし、個人でこうした取り組みを応援したいと思ったら、ふるさと納税制度の活用が便利だと思います。この制度はよく出来た制度で、確定申告が必要ですが、寄付者にとっては実際にだしたお金の何倍もの効果をあげることができます。町役場のHPから申しこむことができますが、その際は「河畔林の再生に使って!」と明記することを強くお奨めします。)

 最後に、いうまでもなく牛は家畜です。その乳も肉も皮も骨も、人にとっては大切な資源です。牛を飼うという生活は、そんな資源のすぐそばで暮らすということです。人にとって最も大切なものは人の命ですから、「牛との共生」は人のためだと思います。

森林の再生

 富良野自然塾では、ゴルフ場の跡地を森林に戻す取り組みを続けています。

 

 ここは、もとフェアウェイだったところです。「この木が枯れるときは、お前の死ぬ時だ」と書かれた石碑も、大きく育った木々に飲み込まれそうです。ここは集中的に植樹された場所ですが、他でもあちらこちらで、実生からの苗木の生育が見られました。ゴルフ場といっても、すべての木がなくなった訳ではありませんので、残された木々が、一所懸命に子孫を残そうとしているのでしょう。
 
 以前から、植林や下草刈り、枝打ち、間伐といった山仕事のボランティアを続けてきましたが、印象としては、「森の再生力というのは恐ろしいほどだ」と感じています。スイッチが入ると、例をあげれば、ゴルフ場としての機能を保つための人為がなくなると、森はもの凄い勢いで再生を始める、という実感を持っています。

 気候や地形、土壌によって違ってくると思いますが、種になる森林が残されているのなら「自然を信じて辛抱する」ということも選択肢だと思います。

 なお、富良野自然塾の「裸足の道」「闇の教室」などは、いずれも強く印象に残る大変素晴らしいプログラムです。観光で富良野を訪れる方も多いと思いますが、是非一度体験してみてください。