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株式会社アークプランは、サラリーマンが夢を実現するために設立した、小さな小さな会社です。

魚との共生


魚(渓流釣り)を通して、水と川と森、そして海までが見えてきます


神奈川県・丹沢の渓と魚 
    神奈川県の丹沢源流域です。30年丹沢を釣り続けました。西丹沢と呼ばれる地域の沢はほとんどすべて、それも最後の水の一滴がにじみ出るところまで、釣りきったと思います。
 丹沢は、大小取り混ぜて沢と滝の多いところですが、入渓する人も多いので、ほとんどの滝には高巻きの道がついています。
 ですから、特別な訓練を受けた人でなくても、遡行することができます。(慣れないと危ないです。)
 
    丹沢はおもしろいところで、いくつかの沢を除いて、どんな源流域にもヤマメが生息しています(他はイワナ)。丹沢にもっとも似合う、もっとも美しい魚だと思います。
 これは、蟻に似せたフライ(毛バリ)で釣った、ベッピンのヤマメです。その川で生まれその川で育った魚は、まるで住民票を身につけたように、それぞれ独特の雰囲気を持っています。
    美しい魚は、美しい渓流に棲みます。そして美しい渓流は、美しい森林がなければ成り立ちません。丹沢は、首都圏にありながら、そして大変な数の人々が様々な形で利用しながら、もともとの美しさを残した貴重な地域だと思います。
(ただし、源流域を釣ろうと思ったら、行動時間は10時間を覚悟する必要があります。歩くだけで4時間は必要です。帰りは尾根に這い上がって、ということもあります。)
  丹沢の奥地は素晴らしいところです。美しい森林、渓流、そして魚が残されています。ただし、海とはつながっていません。
 ダムや堰堤を否定するつもりはありません。砂防ダムのおかげで麓の人家が救われた土石流もありました。九州の被災地で救助活動にあたった時は、あの砂防ダムがもっと大きければ、こんなにたくさんの犠牲者はでなかったのに、と悔しい思いをしたこともあります。
 しかし美しい森林は、手入れの悪い人工林や裸山と比べ、台風や豪雨などへの抵抗力が強いと感じます。丹沢や周辺の山々で、たくさんの土砂崩れや土石流を見てきた経験から、そう確信します。
 丹沢の麓には膨大な数の人々の生活があり、丹沢の森林が海とつながることはもうないでしょう。でも少しでも近づけるためには、森林や渓流を美しく守っていかなければならないと思います。
 北海道の渓と魚
    摩周湖の伏流水を水源とし、オホーツク海にそそぐ西別川です。
 源流域は梅花藻が水底をおおい、季節には白い花で水面が一杯になります。釣り人でさえ、水に足を入れるのをためらうような流れです。
 しかも、この川は海とつながっています。
 河口から源流まで、流れをさえぎる人工物はありません。
 そして北海道(特に東部)には、こうした川がたくさんあります。
    北海道の在来種、アメマスという魚です。
 降海型のイワナで、写真の魚は70センチを超えます(右下に見えるのが長靴です)。海とつながる川には、こんな魚が棲むようになります。
 イワナを見たことのある人は多いと思います。山郷に行くと、塩焼きや甘露煮、骨酒などで出てきますが、あの魚が70センチになった姿は、なかなか想像できないのではないでしょうか。北海道では、決して珍しくありません。
    幻の魚と言われたイトウも、地域の人たちと釣り人の努力で、少しづつ増えてきたと思います。一方、絶滅したと思われる河川も少なくありません。
 人間にとっては災害である洪水も、イトウにとっては必要な自然現象の一つ。河川改修や河川への土砂の流入、そして釣り人による乱獲が原因だと思われます。
 イトウは、原始的な姿と獰猛な顔を持つ、北海道を代表する魚です。イトウの姿があちらこちらで見られるようにしたいものです。
    サケマスと一括りにされることが多いですが、実はたくさんの種類があります。北海道で釣りの対象となる主なものは、この白鮭(チャムサーモン)とカラフトマス(ピンクサーモン)。普通、河川に遡上したサケマスは禁漁ですが、一部の河川で例外的に釣ることが認められています。これは忠類川の鮭。
 長い旅の終わりに、母なる川で子孫を残そうとする鮭の姿は、感動的でもあり、ちょっぴり感傷的な気分にもさせられます。
    北海道の釣りで忘れてならない魚が、このオショロコマ。イワナの仲間ですが、この魚の凄いところは、その圧倒的な魚影の濃さにあります。ある面で、北海道の渓の凄さを端的に語ってくれる魚です。
 近年、自然遺産登録の好影響の一つとして、知床の渓をズタズタにしている堰堤に、立派な魚道が設けられることが多くなってきました。その効果は目を見張るもので、ヤマメの復活はもちろんのこと、このオショロコマの大型化も感じられます。いつまでも、渓に溢れていて欲しいものです。
 
    北海道東部の遅い春。川の氷が落ちる頃、アメマスが海に帰りはじめます。その魚に会いに、たくさんの釣り人が河口周辺に集まります。この写真の右側はもう太平洋です。
 森と海をつなぐ川は、本当に素晴らしい貴重な存在です。その価値を知るのに一番身近な方法は、竿を振ることではないでしょうか。
 釣り人は、魚を通して、いつも川を見ています。
  北海道には、森林と海とがつながった川があります。そしてそこには、本当に素晴らしい魚がたくさん棲んでいます。日本はおろか、世界中探してもそれほど多くはない貴重な環境でしょう。
 水は、森林で生まれた直後から魚を育みはじめ、海へとつないでいきます。魚は、そこにある水がどんな水なのかを示す、もっとも分かりやすい指標です。
 それぞれの故郷で、そこに棲む魚と共に生きようとすれば、水を、森林を、川を、海を大切にしていくはずです。そしてそれは、人にとっても安全で快適な環境づくりに続いていくと思います。

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