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株式会社アークプランは、サラリーマンが夢を実現するために設立した、小さな小さな会社です。

馬との共生

  以前、横浜南部のある篤志家のご自宅(関東大震災前からの家屋)を訪ねたことがあります。玄関を入って、
 すぐ左手にある応接間に通されたのですが、なんとなく変なレイアウトだったので聞いてみると「以前、馬小屋
 だったところを改装したのさ」とのことでした。

  玄関の土間をまっすぐ上がると人の空間、左に行くと馬の空間だったのです。そういえば昔むかし、小学校の
 運動会で同級生が「今日は馬糞を踏んできたので徒競走は一番だ」と言っていたのを思い出しました。記憶には
 ないのですが、自宅のそばにもきっと馬がいたのでしょう。

  さて、私の乗馬歴を少し紹介します。
 
 朝の犬の散歩が私の担当になってすぐ、散歩仲間のある人から「北海道に行くなら、馬ぐらい乗れなきゃしょうがねえだろう」と言われました。この方、50代半ばから乗馬を始め、5〜6年後には障害馬術の大会で入賞者の常連になったとのことですが、見たところ、特に身体頑健、運動神経抜群とは見えません。それに、たしかに北海道は馬の似合う土地です。それならばと、というのがきっかけです。

 紹介してもらったのは、クレイン神奈川という乗馬クラブです。入会費や騎乗料(乗馬料)が安価で「乗馬はお金持ちの道楽」というイメージを払しょくしてくれました。

 一年弱、楽しく通わせてもらいました。最後に、4級というのをもらいましたが、一人のインストラクターが大勢の人を見なければならないので、今にして思えば密度は薄かったように感じます。でも、生まれて初めて馬という生き物にたっぷり触れさせてもらい、今でもこのクラブには感謝しています。 
   北海道に行って最初にお世話になったのは、オーナー兼指導者が、畜産関係の仕事の合間を縫って対応してくれるところでした。以前は民宿併設の大きなクラブでしたが、徐々に縮小してきたとのこと。でも、初めての北海道の乗馬は驚きの連続でした。
 
 まず、馬が蹄鉄を履いていません。裸の足です。そして馬が厩舎にいません。立派な厩舎はあるのですが馬が入ることは稀で、その辺でたむろしているのをつかまえてくる、という感じです。
 しかしその馬が素晴らしい。この馬はウィンという馬ですが、なにしろ軽く動くし、乗り手の技量を見極めて安全に乗せてくれる、本当に素晴らしい馬でした。

 ところで、私の騎乗を見たオーナーの最初の一言は「ダメダメ全然乗れてないよ。まずは馬にちゃんと乗らなけりゃあ!」でした。
    今は、ムツ牧場にお世話になっています。

 写真は先生の一人。ムツ牧場の人の乗馬姿を見ていると、これまでの乗馬ってなんだったの? という気持ちになります。ほとんど片手で乗っているので「ここはウェスタンですか?」と聞いたところ「いえ我流です」とのこと ??? 

 でも、これほど「乗れてる人」は見たことがありません。乗馬には、鐙も手綱もいらないんだなあと感じます。

 頼み込んだ特別指導は、鐙は履かず、手綱は邪魔にならないように持っているだけで、丸馬場を延々と速歩することでした。「しっかり馬に乗る」ということが少し分かったように感じました。

 ちなみに、こちらに来て「軽速歩」は忘れました。速足は速歩ですから「正反動」という言葉も耳にしません。
  ムツ牧場、この動画がその特徴をよく表していると思います。 
 ここの馬は、昼夜、一年中放牧されています。厩舎は、お産間近か乳飲み仔とその母馬が夜間に使うだけ。他の馬は、たとえどんな吹雪でも森の中で体を寄せ合って耐えます。
 乗る側にとっての問題は、馬に乗る前に、馬を掴まえなければならないことです。たとえばこの草地は奥が深く、しかも山あり谷あり。牧場の人が呼ぶと時間がかかっても寄ってくるのですが、私だと・・・?
  
 
 流 星 号 で す 

 

 2014年5月、ついにムツ牧場の馬を購入しました。アラブの父と道産子の母との間に生まれ、ムツ牧場で育った5歳(22014年7月現在)の牝馬です。登録上の正式名とは別に「流星号」という通り名にしました。「リュウ」というのは、私に乗馬を勧めてくれた方の愛犬の名前です。それを頂戴しました。

 流星号のいるおかげで、私の乗馬も随分と変わりました。

 

 

 ここムツ牧場は、100ヘクタールの広さがあります。百万平方メートル、あるいは三十万坪、それとも東京ドーム20個分という表現の方が分かりやすいでしょうか?
 山あり谷あり川あり、カラマツやシラカバの林、笹原、そして広い草地。そのすべてが馬場になります。

  牧場の外では、たとえば流氷トレッキング

  そして、開陽台トレッキング

 ちょっと困るのがこれです。いくら綺麗にしてもキリがありません。
  

 
馬は、北海道で暮らす上で、欠かすことのできない存在になりました。

 それに馬は、まちづくりというの面でも、かなり面白い存在だと考えています。

 「ちょっと買い物してくる」と言って出掛けたお父さん、馬小屋から引っ張り出した愛馬に跨って近くのコンビニ
へ。コンビニには、駐車場のわきに横木が設けてあって、そこに馬を繋ぎます。買い物すませたお父さん、バケツで
馬に水をやった後、近くの放牧地の牛の様子を見てまわります。腕時計を覗き込み「おっと、昼飯の時間だ」と一鞭
くれ、草原を疾走して自宅に戻ります。

 ちょうど、小学校6年生の長男も帰宅したところでした。長男は、今年から、天気の良い日は馬で通学するように
なりました。親子は、今日の馬の調子を語り合いながら食卓に向かいます。


 というような町があったら、この町は、災害に強く、環境に優しい町なのかもしれません。