西別川よ、甦れ!


 2014年6月に「摩周水環境フォーラム」が開催されました。

  200人ぐらいの参加者があったと思います。

 主な話題は、西別川の梅花藻の減少。梅花藻が西別川の象徴であることに異論はありませんが、その減少の原因は
水鳥や鹿の食害であり、それをどう防ぐのか、という点にフォーカスされるのには違和感があります。

 そこで、「水質の悪化や土砂流入が本質では?」という趣旨の発言をさせてもらいました。会場の雰囲気からは大方の
賛同が得られたように感じました。

 
 西別川は、私に北海道の釣りを教えてくれた一番大切な川です。その西別川が今、危機に瀕していると感じています。

 これは、1997年に開催された、「第一回 西別川OLM」でのワンショットです。インターネットのない時代に流行った、
NIFTYのフォーラム「瀬音」が切っかけで、全国から10数名の釣り好きが参加しました。私もその一人です。

  多分、西春別の少し下流地点

 西別川OLMはその後も毎年開催され、もっとも盛んだった頃には20名以上の釣り人が集まりました。

 2003年、最後のOLMの様子です。
 こんな風に、川を下りながら釣っていきます。西春別から中西別までの中流域が主な釣り場でした。


 西別川は、滝や急流もないのに、案外怖い川です。水深の変化が大きく、深場に入ってしまったら大変です。その上、
沈倒木が多く、うっかりすると転んでずぶ濡れになってしまいます。ですから、足元が見えることが絶対の条件です。

 年々濁りが酷くなり、OLMも中止。その後、2013年、2014年とこの流域に入ってみましたが、恐ろしくてすぐに逃げ
出しました。濁りより怖いのが、川底に溜まった目の細かい土砂です。一歩足を踏み出すとその土砂が舞い上がり、
足元がまったく見えなくなってしまうのです。

 
   虹別から上には、まだこんな素敵な場所が

 梅花藻の間に見える、水底の様子に注目してください。目の粗い砂利のようなものが見えると思います。この砂利が、
西別川の大きな特徴で、この砂利があるからこそ梅花藻も育つのだと思います。

 OLMを開催していた頃は、中流域の水底もこの砂利で埋め尽くされていました。そして、いたるところに梅花藻が群生
していました。


 大量の土砂が流れ込む最大の原因が、牧草地で行われる草地更新だと思います。「スラリー撒きと草地更新」のページ参照 
  これは、今まで見てきたなかでも最悪の事例

 
 そして次の原因は、河畔林の衰退でしょう「牛との共生・渓畔林」参照)

 
 最後に、森林そのものの衰退もあるのだと思います。

 冒頭に紹介したフォーラムでご一緒だった方から、戦後間もない頃の西別川源流部の様子を聞くことができました。
当時は、もの凄い巨木がたくさんあったそうで、切り株の上に5人で座って花札をやったとか、4畳半の天井を2枚の
板で張ることが出来たとか・・・・・

 そういえば、養老牛温泉の露天風呂には、こんな風呂桶が置かれています。

  大人二人でゆったり入ることができます。

 これも、西別川の源流域から伐りだされたものでしょうか?


 希望はあると思います。その理由をいくつかあげてみます。

 1 行政が問題を十分に認識しています。冒頭のフォーラムに参加していた別海町の町長のコメントを聞くかぎり
  ここで指摘した問題意識は共有されていると思います。

 2 農業関係者にも理解が広がりつつあります。フォーラム参加の酪農家の家族から「除草剤を使ったあと、水路
  に生えていたクレソンが全滅してしまった。大丈夫だと説明を受けていたが、川への悪影響があるのではないか」
  といった発言がありました。また、「マイペース酪農交流会」の方々は、既にこうした問題を十分に理解し、実践され
  ています。

 3 漁業関係者は、誰よりも強い危機感をもっています。紹介した草地更新について漁業関係機関に情報提供した
  ところ、すぐに関係機関との調整に乗り出してくれました。

   そしてなにより、西別川の魚たちは、立派に生きています。

    

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