アメマスの不思議

 アメマスは北海道全域に棲息する、釣りのターゲットとして疑いもなく第一級の魚だと思います。

 イワナの仲間ですが、最大で80センチを超え(残念ながら私は釣ったことがありません。何度か目撃しましたが・・・・)、
その活動域は海から源流域にまで及びます。しかしその生態には謎が多いとも言われ、長いことこの魚を追いかけている
釣り人にも、「なぜ?」と感じることがあると思います。

 その一つを紹介します。2014年の秋のことです。

 北海道の河川は、波による砂丘で川がせき止められ、河口付近に大きな池のような溜りの出来ることがよくあります。
道東では、アメマスは産卵のために晩夏から秋にかけて川を遡上しますが。せき止められてはそれも叶いません。

 そこで釣り人が、河口掘削工事を行うことがあります。

 左が河川の突端、右は太平洋です。ここを掘って 繋げるわけです。

 工事の進捗状況です
 徐々に水が勢いづいて

 こんなになります!
 (この作業は、すぐ上にある牧場主からも喜ばれます。)

 そして、海にいたアメマスが、産卵と越冬のためにここを上がってくるはずです。実際に、開通から数時間後には
やってきました。
 
 
 たくさんの魚が、背びれを見せながらドンドン遡上していきました。

 ここまでは予想したとおりです。ところが問題は、今海から来たばかりの魚の色。普通、遡上したての魚はこんな色
のはずです。
 
  ちょっと分かりづらいかもしれませんが、背中が青いのです。

 
 上ってきたアメマスは、「降りアメマス」と呼んでいますが、上流で産卵した後の魚(イワナ系の魚は、他のサケマス
とは違い一回の産卵で死ぬことはありません。3~4回の産卵に耐えると言われています)に違いないのです。

 この場所、海と繋がったのは例年より相当遅くなりました。そこで、私が想像したのは、

 「ここを遡上したかったアメマスは、河口がふさがっていたので、諦めて他の河川で産卵を終えた。そして、一旦海まで
降り直し、あらためてこの川に遡上してきた。」


 もし私の想像とおりなら、実に驚くべき生態と言えるのではないでしょうか? だって、産卵した川でそのまま越冬する
でしょう、普通! どうしてもここに来なければならない、他の理由があったのでしょうか??

 アメマスの不思議を改めて感じさせられた出来事でした。


 ついでに、このポイントでの釣り風景を



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